2018年4月2日月曜日

七色の軽蔑

年度が代わる。どこかに住んでいる息子もきっと進級するだろう。

ぼくはいい年をした中年が「あいつとは同い年だけど学年が2個違うんだ、俺は留年したからなw」みたいなことをいうのを聞いて「いつまで学生気分だよバカじゃないの」と思うタイプなのだけれど、それでも3月から4月になるときにはつい「学年がかわる」という気分にひたる。学生気分はぼくの方だ。同族嫌悪ということばもある。

まあでも学生気分とはいうけれど、学生のころの思い出なんてすごいスピードで後方に吹っ飛んでしまい、もう何も思い出せない。当時写真を撮っていなかったからか、思い返す機会もよすがもないまま年を取ったらそのまま忘却してしまった。

一方で、スマホを持って以来ことあるごとに写真を撮っている今の思い出が将来に残るかというと、これもめっきり自信がない。たぶん、手軽に写真を撮り過ぎているから、ひとつひとつの写真の由来をまったく思い出せないはずだ。

記録しなければ思い出せず、記録しすぎても思い出せない、ほどよい記録の仕方というのがわからない。



年度末なので仕事の業績をまとめていた。「この論文を書いたときは誰々にだいぶ迷惑をかけたなあ」とか、「あのときのお礼をお歳暮で送るつもりだったのに忘れていたなあ、まずいまずい」とか、仕事相手のことをぽろぽろと思い出す。

おお、おそらく、業績が全くなければ仕事の記憶は残らなかったろうし、どこぞの教授みたいに業績がありすぎてもきっと一つ一つの仕事の記憶は残らなかったろう。そうか、怒られもせずほめられない程度の、ほどよい業績をあげてきたからこそ得られた恩恵だ。

「業績は残しすぎては思い出にできない」。

今後、座右の銘としよう。かっこいい。うちで研修をする研修医たちもきっとぼくのことを尊敬するに違いない。