2017年11月6日月曜日

母への手紙

あっ! そういえばぼく今ゲームしてないわ!

ってなった。卒業である。39歳で卒業。

記念だ。母親に電話しよう。

思えば小学生のころから、母親に、

「いつまでもピコピコファミコンしてないでそろそろやめなさい。高橋名人も1日1時間って言ってたでしょ」

と言われていた。

みんな持ってるからと言ってスーパーファミコンを買ってもらい、クラスメートが次から次へと遊びに来るのを見た母親に、

「みんな持ってないじゃない!」

と怒られた。

中学の卒業寸前に、同級生の家に10人くらいで泊まりに行って、その男の子の親が出かけていないのをいいことに、一晩中「プライムゴール」のPK戦をやっていた。ACアダプタが焼けそうになった。

高校のとき、塾から帰ってきてちょろっとFFをやったりしたが、さすがに受験前にはゲームをやめていた。母親には

「ようやくピコピコやめたねえ」

と言われた。でも、大学に入ってまたゲームをするようになったので、

「大学生になってもファミコンやるの!」

と驚かれたが、いや、プレステだから、と答えた記憶がある。

大学院になってもやっていた。プレステ3は初期ロットの60GBのやつを買った。

社会人になってもやっていた。さすがに据え置きゲームをやる頻度は減ったが、それでも、最近ではスプラトゥーンをやったし、Switchのゼルダもマジ最高だった。




それが。

ゼルダをクリアし、スプラ2に移行したはよいが。

出張に加えて論文と書籍の執筆がたのしくて、職場で仕事をしている時間以外にもなんだかいろいろPCに向かうようになって……。

それはそれとしてマンガを読んだり本を読んだりはやめないでいたら……

今、ゲーム、自然と、やってない!!

やる気も、しなくなってる……!

ついに。ついに。33年越し。

ぼくはゲームをやりたいという気持ちを失った。




ああ!

ぼくはこのまま一生ゲームをやりながら過ごすのだと思っていた。

ゲームはカレーライスと一緒だと思っていたけれど。

しばらく食べない日があったとしても、いつか知らないうちにまた食べている、そんなものだと思っていたけれど。

嫌いになることなんてない、ちょっとご無沙汰しているだけだ、と思っていたけれど。

ゲームを、離れた。もう、ゲームのない暮らしがこのまま続いても、大丈夫だ! そんな気がするんだ!!





と、知人に力説したのが、たしか10月26日。よく覚えている。

翌日、10月27日が、スーパーマリオオデッセイの発売日だったからだ。よく覚えている。ぼくは、出勤する直前にそれをダウンロードして、帰宅してから次の日の朝までずーっとやっていた。覚えている。





「母さんぼくはもう忘れちまった

腐った名前と恋に落ちた

そうさ金曜は適当に終わった

今日はちょっと前に進め

心配ない」

(LOSTAGE/手紙)